『歪んだ世界は戻らない』
私と共に沈む世界。世界と共に沈む私。
全部全部沈んでしまえば。
全部全部歪んでしまえば。
そんな願いを押さえ込む。
「世界と私は一蓮托生」なんて綺麗な言葉は似合わない。
誰も私を見ないで欲しい。
誰かに私を見てほしい。
楽になりたい。死にたくない。
認めて欲しい。放っておいて。
そんな矛盾をしまい込む。
「私と世界は一心同体」なんて綺麗な言葉で片付けないで。
歪んだ世界で探したモノは夢か現か幻か。
「光と闇は表裏一体」なんて綺麗な言葉でごまかさないで。
世界と共に沈む身体。
光を求めても助けは来ない。
淀んだ光が沈む現実を嘲笑う。
私と世界でかくれんぼ。
透明な私にうってつけ。
光と私でおにごっこ。
望みから逃げるなんてばかな人。
「もう一度」なんてあるわけないでしょう?
『絶望の光へ沈む』
誰もが憧れる幻の地
俗界を離れた仙境
幻故に不完全な世界
幻故に完全な世界
不明瞭な光に縋る
手を伸ばした先には虚無
桃源郷に救いなどない
幻は幻でしかない
現世(うつしよ)から目を逸らして幽世(かくりよ)を求めた者は…
『ケーキを君に』
秋、君の誕生日。
クリスマスじゃないけれど、君にケーキを買っていこう。
季節限定のモンブランや栗のロールケーキ。
選ぶだけでもドキドキして。
喜んでくれるかな…
僕は一刻も早く君に会いたくて、早足でケーキ屋を後にした。