詩、朗読 その4


『ねぇ、ママ』

お腹が空いた
こころも空っぽ
ラジオみたいに雑音ばっかり
なみだが止まらない
いっしょうけんめい頑張ってるのに
できそこないなんていわないで

『お人形さん』

こころが ビリビリ
破れちゃったらぬいつけよう
布をあててぬいつける
不恰好だけどくっついたね
でもすぐに破れちゃう
ビリビリ ボロボロ
いつか 破れすぎたこころは壊れるの
壊れたこころはくっつかない
こころが ちぐはぐ
ぽっかり空いたそこに綿を詰める

ほら、お人形さんの出来上がり

『曖昧』

赤く染まる世界の中
風に誘われた木々の囁きは
私の視界を緩く掠め取っていった
いくらかぼやけた世界で君は微笑んだ気がした
はっきりと聴こえる声は泣いていたというのに
「さよなら」
いっそ音までもが朧げであったなら
何か変わっていたのだろうか

『自暴的幸福論』

枠にはまった世間体
誰も彼も同じことばかり
周りに合わせて楽しくないのに笑って

型にはまった生命線
生きる事に意味なんてない
とりあえず生きてなんとなく死んで

珈琲に落とした角砂糖のようにさらさらと溶けてしまえたらどれだけ楽なんだろう
跡形もなく消えてしまえたら、私は……

可“愛”い』

私は可愛いものが好き
持っていると私も可愛くなれたような気がするから
私が可愛くなったような気がするから

「なった気がする」だけで「なった」わけじゃない

まだ、まだ足りない
もっと集めなきゃ、可“愛”くならなきゃ
可“愛”くない私は、“愛”されない